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ハルクのCustomer Fast Project⑭

24時間換気システムを徹底解説|第1種・第3種の違いから熱交換・花粉対策まで

HULK HOME COLUMN Vol.05 — 換気のすべて

24時間換気システムを徹底解説
|第1種・第3種の違いから熱交換・花粉対策まで

断熱・窓と来たら次は「換気」です。実は2003年から法律で義務化されている24時間換気ですが、「どんな種類があるのか」「熱交換って何?」という疑問をお持ちの方も多いはず。今回は換気システムの基礎から最新トレンドまで徹底解説します。

「換気って、窓を開ければいいんじゃないの?」――そう思っていませんか?実は、現代の高断熱・高気密住宅では、窓を開けるだけでは計画的な換気ができず、室内に有害物質や湿気が蓄積するリスクがあります。

2003年のシックハウス法改正以降、新築住宅には24時間換気システムの設置が義務化されています。しかし換気システムにも種類があり、選び方によって光熱費・空気質・快適性に大きな差が生まれます。断熱材(Vol.02)・窓(Vol.03・04)ときたら、最後のピースは「換気」です。一緒に理解を深めましょう。

PART 1

そもそもなぜ換気が必要?シックハウスと法律の背景

換気とは、室内の空気を屋外の新鮮な空気と入れ替えることです。「窓を開ければいい」と思いがちですが、現代住宅では高断熱・高気密化が進み、窓を閉めていると室内の空気が滞留しやすくなっています。換気が不十分だと、目に見えない問題が蓄積していきます。

シックハウス症候群とは何か

1990年代後半から2000年代にかけて、新築住宅に引っ越した後に頭痛・めまい・目や喉の刺激症状を訴える人が急増しました。これがシックハウス症候群です。主な原因は、建材・接着剤・塗料などから揮発するホルムアルデヒド揮発性有機化合物(VOC)の室内蓄積でした。

⚠️ シックハウスの主な原因物質
ホルムアルデヒド:合板・フローリング・壁紙の接着剤に含まれる。目・鼻・喉への刺激が強く、WHO発がん性分類でグループ1(ヒトへの発がん性あり)に分類されています。
VOC(揮発性有機化合物):塗料・防腐剤・防蟻剤・シーリング材などから揮発。トルエン・キシレン・エチルベンゼンなど多種類が存在します。
二酸化炭素(CO₂):人の呼気から排出。濃度が高くなると眠気・集中力低下・頭痛の原因になります。
2003年:24時間換気の義務化

シックハウス問題を受け、2003年7月に建築基準法が改正され、すべての新築住宅・建築物に24時間換気システムの設置が義務化されました。法律では「換気回数0.5回/時以上」つまり2時間に1回、室内の空気全体を入れ替えることが基準として定められています。

🏠 換気回数0.5回/時ってどういう意味?
たとえば100㎡の家の場合、天井高2.5mとすると室内の容積は250㎥。換気回数0.5回/時とは、1時間あたり125㎥(250×0.5)の空気を入れ替えることを意味します。つまり2時間で家の中の空気が丸ごと1回入れ替わる計算です。これは最低基準であり、高断熱・高気密住宅では設計上この数値を確実に達成することが重要です。
現代住宅で換気が特に重要な理由
  • 高気密化で自然換気量が激減 昔の家は隙間が多く、自然と外気が入っていました。現代の高断熱・高気密住宅は隙間が極めて少なく、意図的に換気しなければ空気が入れ替わりません。断熱性能が上がるほど、換気システムの重要性は増します。
  • 内部結露の予防 室内で発生した水蒸気(料理・入浴・呼気)を排出しないと、壁内部や窓周辺で結露が発生し、カビ・腐食・断熱性能低下の原因になります。計画換気で湿度をコントロールすることが建物の寿命にも直結します。
  • ウイルス・花粉・PM2.5への対応 フィルター付きの換気システムを採用することで、外気から侵入する花粉・PM2.5・ウイルスをある程度除去しながら換気できます。単純に窓を開けるだけでは防げません。

PART 2

第1種・第2種・第3種換気の違いを徹底解説

換気システムは「給気(外気を取り込む)」と「排気(室内の空気を出す)」のどちらを機械で行うかによって、第1種・第2種・第3種の3種類に分類されます。住宅で使われるのは主に第1種と第3種です。

💨
第1種換気(機械給気+機械排気)
Balanced Mechanical Ventilation
高性能住宅の主流
仕組み

給気と排気の両方を機械(ファン)でコントロールする換気方式です。給気口から外気を機械で取り込み、排気口から機械で室内の空気を出します。給排気の量を精密にコントロールできるため、計画通りの換気を確実に実現できます。熱交換ユニットと組み合わせることで、換気による熱損失を大幅に削減できます(PART 3で詳述)。

✅ メリット
給排気を機械制御するため換気量が正確。熱交換器との組み合わせで冷暖房エネルギーの損失を削減。フィルターで花粉・PM2.5を除去可能。室内の気圧を一定に保てる。
❌ デメリット
第3種と比べて設備費・工事費が高い。給排気両方のファンがあるため電気代がやや高い。定期的なフィルター清掃・メンテナンスが必要。ダクト配管が複雑になることがある。
📌 向いている家
高断熱・高気密住宅、熱交換換気を採用したい場合、花粉症やアレルギーをお持ちの方のいるご家庭、ZEH(ゼロエネルギーハウス)を目指す場合。
🔧 ダクト式 vs ダクトレス
第1種換気には、ダクト配管で各部屋を繋ぐ「ダクト式」と、各部屋に本体を設置する「ダクトレス式(壁付け型)」があります。ダクト式は効率が高く、ダクトレスは後付けや小規模住宅向けです。
給気 機械制御
排気 機械制御
熱交換 ◎ 対応可能
コスト △ 高め
換気精度 ◎ 最高
🏭
第2種換気(機械給気+自然排気)
Positive Pressure Ventilation
住宅では稀・特殊用途
仕組みと特徴

給気のみ機械で行い、排気は自然に行う方式です。室内が正圧(外より気圧が高い状態)になるため、外部からの汚染空気の侵入を防げる特性があります。無菌室・クリーンルーム・手術室など、外部からの汚染を絶対に防ぎたい施設で採用されます。一般住宅ではほぼ使用されません。正圧により壁内部に湿気が入りやすくなり、内部結露リスクが高まるためです。

給気 機械制御
排気 自然排気
住宅採用 × ほぼなし
主な用途 病院・工場
🌬️
第3種換気(自然給気+機械排気)
Exhaust Ventilation
住宅の多数派
仕組み

排気のみ機械(換気扇)で行い、給気は壁に設けた給気口(パッシブベント)から自然に行う方式です。トイレ・浴室・キッチンの換気扇で室内の空気を強制排出し、その負圧によって各部屋の給気口から外気が入ってきます。日本の一般住宅で最も広く普及している換気方式です。

✅ メリット
設備がシンプルで工事費・設備費が安い。メンテナンスが容易。故障リスクが低い。既存住宅へのリフォームにも対応しやすい。
❌ デメリット
熱交換器を設置できないため、換気による熱損失が大きい。給気口からそのまま外気(花粉・冷気・暑さ)が入ってくる。気密性能が低い住宅では計画通りの換気量を確保しにくい。
📌 向いている家
コストを抑えたい場合、気密性能が中程度の住宅。なお、ハルクホームは高断熱・高気密住宅のみをご提供しているため、第1種換気のみを採用しています。
⚠️ 冬の寒さ問題
第3種換気では、冬に給気口から冷たい外気がそのまま入ってきます。給気口の位置によっては「冬に寒い」と感じる原因に。給気口に温度調節機能付きのものを採用すると改善できます。
給気 自然給気
排気 機械制御
熱交換 × 不可
コスト ◎ 安価
換気精度 ○ 気密次第
比較項目第1種換気第3種換気
給気方法機械(ファン)自然(給気口)
排気方法機械(ファン)機械(換気扇)
熱交換機能◎ 対応可能× 対応不可
換気の正確さ◎ 精密△ 気密性に依存
花粉・PM2.5対策◎ フィルター設置可△ 給気口次第
冬の給気温度◎ 熱交換で温める× そのまま外気
設備費・工事費△ 高め◎ 安価
メンテナンス△ やや複雑◎ 簡単

PART 3

熱交換型換気とは?全熱・顕熱の違いと光熱費への影響

💡 第1種換気と組み合わせる高性能オプション

第1種換気の最大の強みが、熱交換換気(Heat Recovery Ventilation)との組み合わせです。通常の換気では、温めた(または冷やした)室内の空気をそのまま外に排出してしまうため、エネルギーが無駄になります。熱交換換気ではこの損失を大幅に削減できます。

熱交換の仕組み

熱交換換気とは、排気する室内の空気と、給気する外気を「熱交換素子」の中でクロスさせ、熱だけを移動させる仕組みです。冬なら排気する暖かい空気の熱が、給気する冷たい外気に移り、室内に入ってくる空気が事前に温められます。空気そのものは混ざらず、熱だけが移動するため、衛生的です。

熱交換換気による効果のイメージ(冬季)
室内排気温度
約20℃(暖かい室内の空気)
→ 外へ排出
外気温度
約2℃
→ 給気前
熱交換後給気
約14〜16℃(熱交換で温まった外気)
→ 室内へ

※熱交換効率80%の製品の場合の目安値です。製品・気象条件により異なります。

全熱交換 vs 顕熱交換

熱交換換気にはさらに2種類があります。「全熱交換」「顕熱交換」です。この違いを理解しておくと、換気システム選びがより具体的になります。

🌡️ 全熱交換型
熱+湿気の両方を交換 温度(顕熱)と湿度(潜熱)の両方を交換します。冬は室内の暖かさと湿気を給気に移し、夏は室内の涼しさと乾燥を保ちます。日本の多湿な気候に適しており、住宅で多く採用されています。ただし排気の汚染物質が給気に微量混入するリスクが指摘されることもあります。
🌡️ 顕熱交換型
熱のみを交換 温度(顕熱)のみを交換し、湿気は交換しません。排気と給気が完全に分離されるため、汚染物質の混入リスクがゼロです。ヨーロッパの乾燥した気候で主流ですが、日本の夏は湿気を室内に持ち込みやすいデメリットがあります。
熱交換換気は光熱費にどう影響するか

熱交換効率が80%の換気システムを採用した場合、換気による熱損失を最大で約80%削減できます。たとえば換気による年間の冷暖房エネルギー損失が10万円相当だとすると、熱交換換気で8万円分を回収できる計算です。初期費用は第3種換気より10〜30万円程度高くなりますが、長期的には光熱費削減で回収できるケースが多いです。

第1種(熱交換あり)
熱損失が少ない ◎ 省エネ性最高
第1種(熱交換なし)
熱損失あり ○ 換気精度は高い
第3種換気
熱損失大 △ 冬の暖房負担増

※グラフは省エネ性(熱損失の少なさ)のイメージ比較です。実際の効果は住宅規模・気候・使用状況により異なります。

POINT|高断熱+熱交換換気でエネルギーロスを最小化
断熱性能を上げても、換気で熱が逃げていては意味が半減します。断熱(Vol.02)+高性能窓(Vol.03・04)+熱交換換気(Vol.05)の3つを組み合わせることで、はじめて本当に省エネで快適な住まいが実現します。ハルクホームのスーパーウォール工法はこの3要素をセットで考えた設計を行っています。

PART 4

気密性能(C値)・花粉・PM2.5・ウイルスと換気の関係

気密性能(C値)と換気の密接な関係

換気システムを正しく機能させるうえで、建物の気密性能(C値)が非常に重要です。C値とは「相当隙間面積」のことで、建物全体の隙間の合計面積を床面積で割った数値です。数値が小さいほど隙間が少なく、気密性が高いことを意味します。

5.0
cm²/m²
旧省エネ基準
(昔の一般住宅)
2.0
cm²/m²
現在の
省エネ基準目安

C値が高い(隙間が多い)住宅では、計画した換気口以外からも空気が入り込むため、換気システムが機能していても意図しない場所から外気・汚染物質が侵入してしまいます。「換気システムを設置したから大丈夫」ではなく、C値1.0以下の気密性能を確保してはじめて換気システムが本来の性能を発揮します。

📐 スーパーウォール工法とC値の関係
ハルクホームが採用するスーパーウォール工法は、工場製造の高精度パネルで家全体を包む工法のため、現場施工の誤差が少なく高い気密性能を実現しやすい特徴があります。気密測定(気密測定試験)を実施することで、引き渡し前にC値を数値で確認できます。気密性能は「測らないとわからない」数値のため、実測値の確認を推奨します。
花粉・PM2.5・ウイルスと換気フィルターの関係

近年、花粉症・PM2.5・ウイルス感染症への関心が高まる中、換気システムのフィルター性能が住まいの空気質を大きく左右します。換気システムのフィルターは「HEPAフィルター」「中性能フィルター」など、捕集効率によってグレードが異なります。

🌸
花粉対策
スギ花粉の粒子サイズは約30〜40μm。一般的な中性能フィルター(F6〜F7グレード)でほぼ除去可能。花粉症の方が多い家庭では換気フィルターの定期清掃・交換が特に重要です。
🌫️
PM2.5対策
PM2.5は粒子径2.5μm以下の微小粒子。除去するにはHEPAフィルター(99.97%以上の捕集効率)が必要です。一般的な換気フィルターでは不十分なため、PM2.5対応フィルターの採用を検討しましょう。
🦠
ウイルス対策
ウイルスは0.02〜0.3μm程度と極めて小さく、通常のフィルターでは捕集困難。ただし換気によって室内のウイルス濃度を希釈・低下させる効果はあります。UV照射機能付き換気ユニットも登場しています。
💧
湿度・カビ対策
計画換気により室内の過湿状態を防ぎ、カビの発生リスクを低減します。特に浴室・洗面所・キッチンの局所換気との組み合わせで、湿気の発生源からすばやく排気することが重要です。
🏠
VOC・ホルムアルデヒド
建材から発生するVOCは換気によって希釈・排出します。新築直後は発生量が多いため、引き渡し後しばらくは換気量を増やすこと(ベークアウト)が推奨されます。
🔧
フィルターの定期交換
どれだけ高性能なフィルターでも、汚れたまま使用すると換気量が低下し逆効果に。2ヶ月に1回の清掃と、2年に1回の交換を目安に維持管理を行いましょう。
換気システムの維持管理について
  • 換気システムは「つけっぱなし」が正解 電気代が気になって換気システムをオフにする方がいますが、これは逆効果です。24時間換気は建物の空気環境を守るために設計されており、止めると湿気・CO₂・VOCが蓄積します。消費電力は一般的に月数百円程度で、光熱費への影響は軽微です。
  • 給気口・排気口の塞ぎ忘れに注意 「冬に寒いから」と給気口を塞いでしまう方がいますが、換気量が激減して空気質が悪化します。寒さが気になる場合は給気口に断熱カバーや温度調節機能付きのものを採用することをおすすめします。

よくある質問

Q第1種換気と第3種換気、どちらを選べばよいですか?
Aハルクホームでは、高断熱・高気密の住宅のみをご提供しているため、第1種換気のみを採用しています。第3種換気は設備費を抑えられる一方、熱交換ができず冬は給気口から冷たい外気がそのまま入ってきます。せっかく高い断熱性能を確保しても、換気で熱が逃げてしまっては本末転倒です。ハルクホームは断熱・気密・換気の3つをセットで考え、第1種(熱交換型)換気を標準としています。
Q熱交換換気はどのくらい電気代を節約できますか?
A住宅の規模・気候・断熱性能によって異なりますが、熱交換効率80%の製品では換気による熱損失を最大約80%削減できます。一般的な住宅で年間1〜3万円程度の冷暖房費節約効果が見込めるケースがあります。初期費用との兼ね合いで10〜15年程度での回収が目安となることが多いです。
Q換気システムのメンテナンスはどのくらいの頻度で必要ですか?
Aフィルターの清掃は2ヶ月に1回、フィルターの交換は2年に1回が目安です。加えて、換気ユニット本体のメンテナンスが10年ごとに必要になることがあります。フィルターが汚れたままだと換気量が低下し、本来の性能を発揮できなくなりますので、定期的なお手入れをおすすめします。定期点検の際にはハルクホームのスタッフが状態を確認いたしますのでご安心ください。
QC値(気密性能)は後から改善できますか?
A既存住宅の気密性能を大幅に改善するには、壁を解体して気密シートを貼り直す大規模工事が必要になります。コストが高く、現実的には新築時に確保することが重要です。既存住宅では給気口の位置を工夫したり、すき間風の多い箇所を部分的に補修したりする方法で一定の改善は可能です。
Q全熱交換と顕熱交換、日本の住宅にはどちらが向いていますか?
A日本の高温多湿な夏を考慮すると、湿度も交換できる全熱交換型が一般的に向いていると言われています。夏は外の湿気が全熱交換素子でカットされる効果があります。ただし素材・製品によって差があるため、設計時に専門家とご相談ください。

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次回は「耐震性能と構造の考え方」を徹底解説!

断熱・窓・換気と「快適性」のテーマが続きましたが、次回は家の「安全性」へ。
耐震等級の違い・制震・免震の比較・地震に強い家の構造まで、
地震大国・日本で安心して暮らすための構造の話をお届けします。どうぞお楽しみに!🏠

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